昔、竜田川と言う力士がおってな その竜田川は千早という花魁に入れ込んどったそうな しかし当の千早は竜田川が嫌いだったという しかたなしに、今度は神代という花魁に入れ込んでみたものの、同様に振られてしもうたという 二度の恋に敗れた竜田川は、力士業から足を洗い豆腐屋として第二の人生を歩む いくばくかの年月が過ぎ、豆腐屋竜田川の前に二人のみすぼらしい女が現れた かつて竜田川を振った千早と神代である 二人は曰く「もう三日も何も食べてはおりません。せめて、(お)からをくださいまし」 しかし、自分を振った竜田川は冷たくあしらい二人を追い返した そして二人は、(お)から(すら)をくれない(ことに)みずくくる(注:入水自 殺のこと)と相成ったという ちなみに、最後の「とは」とは千早の本名である